ごく普通の家庭に育ちながら、言い知れぬ孤独と束縛感を抱える女子中学生・三條一里(さんじょういちり)。学校帰りのコンビニで強盗に襲われかけた刹那、彼女に摩訶不思議な体験が訪れる――。それは、彼女の出逢いと解放の物語が、幕を開けた瞬間だった。音楽、格闘、ダンス、哲学、宗教…人間の営みのすべてを体現する舞闘技「カポエイラ」に、“漫画の求道者”迫稔雄が漫画表現の粋を集めて挑む、異類の青春バイオレンス大河、開幕。「私たちは、本当の家族じゃない」。三條一里がメストレに出逢ったことに呼応するように、次々と明らかになる、彼女を取り巻く残酷な現実。自由を求めて伸ばしたその手は、果たして光に届くのだろうか――。家族、絆、暴力、陰謀、愛…奴隷貿易と圧政の血塗られた歴史に彩られた舞闘技「カポエイラ」、その陰惨な暗闇が、彼女を強く、切なく、成長させる。慟哭と相克の第2巻。